この記事のテーマ(ポイント)
- 確定申告とは何か?基本的な仕組みを理解しよう!
- 「うっかり申告忘れ(=脱税)」や「税金が返ってくる還付金の手続き漏れ」がないように注意!
2.申告する必要がない場合とは?
3.申告すべき所得って、何が対象なの?
4.『確定申告』の手続き方法(申請期間、書類など)
5.『確定申告』で注意すべきポイント!
を確認すれば、『確定申告』の基本はOK!
目次
『確定申告』とはどんな制度なの?
<👨おっさんのつぶやき>
・「確定申告」って聞いたことあるけど、どんな制度なのかな?
・ナゼ、いちいち申告しないとならないの?
日本では、自分が得た所得について、自ら税務署へ申告をして税金を納付する『申告納税制度』という制度を採用しております。
納税者は、一年間の所得や控除金額などを計算した『申告』書類を税務署へ提出して、一年間の納税額を『確定』するため、この手続きは『確定申告』と呼ばれております。
一定の所得を得ている全ての人は納税の義務があり、一年間に得た所得に対する税金を翌年2月16日~3月15日(※)の申告期間のうちに税務署へ申告する必要があります。
※土日祝日と重なった場合の調整で年によって確定申告の期間にはズレが発生します
※2020年は2/17~3/16の一ヶ月間が確定申告の期間となります
次の項目から、具体的な『確定申告』の仕組みや申請方法などに関してご説明させていただきます。
※ちなみに、以下はすべて令和元年(2019年)の制度・税率を前提としております
確定申告する必要がない場合とは?
<👨おっさんのつぶやき>
・「所得を得ている全ての人が確定申告の必要がある」って、私はしてないけど大丈夫なのかな??
先ほど、「一定の所得を得ている人は、全て税務署へ申告の必要がある」とご説明したため、「あれ?私は確定申告してないよ。。」と心配になった方がいたら申し訳ありません。
以下の【A】か【B】に当てはまる人は、『確定申告』を行う必要はないので、会社員など給与所得者のほとんどは【B】に当てはまるため、『確定申告』の経験がない方が多いかと思います。
【A】一年間の合計所得が38万円未満
「所得税」や「住民税」では、1円でも所得があればすべて課税するわけではなく、一部の金額を「控除(=税金の対象外にする)=所得控除」という仕組みがあります。
この「所得控除」には、全ての人が必ずに受けられる控除として、「基礎控除=38万円」という控除があります。
つまり、「所得のうち38万円を控除(=税金の対象にしない)」してもらえるため、「所得があっても年間38万円を超えなければ、そもそも支払うべき税金が発生しない=確定申告も必要ない」ということになります。
※38万円-38万円=0円
もうひとつ補足として、会社員やアルバイトなどの「給与所得者」の場合、『所得控除』とは別に、『給与所得控除』という仕組みがあり、最低でも65万円が控除されます。
パートやアルバイトの方がよく言われる「年収103万円の壁」とは、『所得控除(基礎控除):38万円』と『給与所得控除:65万円』を足した「103万円を超えなければ所得税はかからないよね!」という話から来ているのです。
「~控除」や「年収・所得・課税所得の違い」といった用語の意味合いがちょっと分からないという方は、以下の記事も合わせてご確認ください。
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源泉徴収票とは?(仕組みや税金額の計算方法を理解しよう!)
会社員の方は、税金や社会保険料の手続きは会社にお任せ状態なので、「詳しくは分からないなあ、、」という人が多いのではないでしょうか?
「源泉徴収」に関して、「税金」、「控除」、「年末調整」、「年収と所得と課税所得の違い」など、これを機会にしっかり理解しましょう!続きを見る
【B】源泉徴収・年末調整を受けている
自分の所得が『源泉徴収』の対象となっている人は、所得の支払者が税金を天引きで支払ってくれる(=代わりに申告してくれる)ため、自分で『確定申告』する手続きは不要です。
会社員などの「給与所得」だけでなく、源泉徴収の対象となっている「公的年金(年間受給400万円以下)」や「利子所得」なども、確定申告は必要ありません。
以下は会社員での『源泉徴収』のイメージ図ですが、会社が給与のなかから天引きして既に税金を支払ってくれているため、確定申告の必要がないということになります。
注意!給与所得者でも確定申告が必要なパターン
給与所得者は『源泉徴収制度』があるため、基本的に『確定申告』は不要とご説明しておりますが、以下に該当する場合には「確定申告が必要になる」のでご注意ください。
①給与収入が2,000万円以上
⇒2,000万円を超えると源泉徴収を受けられなくなるため
②複数の会社から給与所得を受けている
⇒所得の合算金額で税金を確定しなければならないため、確定申告が必要
③給与所得以外の所得が20万円以上ある
⇒副業などで本業の給与以外に20万円以上の所得がある場合(20万円以下なら申告は不要)
④住宅ローン減税を新たに申請する場合
⇒住宅ローン減税を申請する初年度は確定申告が必要(2年目以降は年末調整できるため確定申告は不要)
⑤その他源泉徴収・年末調整できない控除申請
⇒医療費控除、雑損控除などで税金の還付を受けたい場合は確定申告が必要
申告すべき所得って、何が対象なの?
『確定申告』しなければならない対象の所得は、上のほうでご説明した「源泉徴収」で支払者が納税や手続きをしない全ての所得が対象となります。
※例えば、「給与所得」だけでなく、銀行の「利子所得」なども基本的に「源泉徴収(=銀行が税金を支払ってくれる)」になっているので申告対象外です
日本の「所得税法」では、所得を10種類に分けて、以下の表のように「所得の区分」というものを定めております。
また、『総合課税方式』という制度が採用されており、一部の例外を除き全ての所得合計金額に応じて税率(所得が高いほど税率も高くなる)を確定するという仕組みを取っております。
『総合課税方式』では、例えば、「自営業での事業所得=300万円」と「賃貸アパート経営での不動産所得=300万円」がある場合には、『年間=600万円』に対して『所得税』がかかるという考え方になります。
『所得税』の算出方法について、もう少し詳しく確認されたいという方は、以下のページも合わせてご確認ください。
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所得税とはどんな税金?計算方法、税率、控除などの基本を知ろう!
分かっているようで、意外と分かっていない所得税について、基本を理解しましょう。(所得税の税率、計算方法、分離課税など)
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もうひとつ注意事項として、「総合課税」には例外があり、「ある特定の所得」については、総合課税の所得とは切り離して税金を計算し、その分だけ個別に納税するいう『分離課税制度』という仕組みがあります。
『分離課税制度』が作られた理由としては、「総合課税」では合計所得が高いほどに個人の税負担が重くなりすぎるため、「退職金」などの一部所得の税負担を軽減することが目的になります。
※例えば、株式利益に対する税金は、年収(額面金額)が0円だろうが1億円だろうが所得税と住民税で「約20%の税率」ときまっております
『分離課税』については、以下の記事で詳しい内容をご説明しておりますので、確認されたい方は合わせてチェックしてみてください。
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分離課税とは?(株・FX・退職金は分離課税?税金計算や申告方法など)
所得税は「総合課税制度」が原則で所得が増えるほど税負担が大きくなりますが、「退職金」など一部の所得は税負担を軽くするために「総合課税」とは分けて税金を算出(=分離課税)します。「分離課税」の仕組みをきちんと理解してしっかりと節税をしましょう。
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『確定申告』の手続き方法(申請期間、書類など)
『確定申告』の手続き、申請方法などについて、主なポイントとなるところをピックアップして、以下のとおりご説明させていただきます。
より細かい内容を知りたい場合には、以下の国税庁ホームページを確認するか、自分の属する自治体の税務署へご相談ください。
☆リンク 引用元:国税庁ホームページ「所得税の確定申告」
確定申告の時期
一年間の所得に対する税金の『確定申告』は、原則として翌年2月16日~3月15日の一ヶ月間(※)に申告する必要があります。
※税務署が休日の土日祝日と重なると日程が変動するときがあります。2019年所得の確定申告は、2020年2月17日~3月16日
確定申告の申請方法
確定申告の申請には以下3つの方法があり、税務署へ行く必要なく、24時間受付というメリットもあり、「e-Tax」を利用する人が増えてきているようです。
ちなみに、①、②については、確定申告手続きをする年の1月1日時点で住んでいる自治体を管轄する「税務署」へ申告に行くことが原則となります。
※ただし、1月1日~確定申告までに引っ越しした場合は、引っ越した先の住所地域を管轄する「税務署」で申告しましょう。その際は、届け出書類が必要となるので確認の上合わせて対応しましょう。
<3つの申請方法>
①税務署で直接書類を提出
②税務署へ書類を郵送
③「e-Tax」を使ってインターネットで提出
税金の支払い方法と支払い期限
税金の支払い方法については、以下の①~⑤の5パターンあります。
支払期限は、通常は確定申告の最終日(=2020年は3月16日)になるのですが、①の「振替納税」だけは、4月20日頃の振替(=口座からの引き落とし)になります。
<支払い方法:5パターン>
①振替納税:金融機関の口座から引き落とし
②e-Taxでの電子納税:インターネットでの電子納税
③クレジットカード:クレジットカード決済での納税
④コンビニ決済:QRコードでの決済(30万円以上はNG)
⑤現金納付:所轄税務署か、所定の金融機関で現金払い
還付申告とは何か?
『源泉徴収』を受けている給与所得者など、本来は『確定申告』する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された税金が納め過ぎになっている場合、所得税の還付を受けることができ、この申告を『還付申告』といいます。
還付申告を行う主な事例は以下のようなパターンとなります。
また、『還付申告』は申告対象となる年の翌年1月1日から申告が可能なため、税務署へ訪問して手続きしたい人は、混雑する『確定申告』の期間(2月中旬~3月中旬)を避けて処理することができます。
<還付申告の主な事例>
①年途中での退職:会社員などの給与所得者で、年の途中で退職して税金を納め過ぎになっている場合
②住宅ローン減税申請:新たに住宅ローン減税を申請したい場合(2年目以降は年末調整)
③医療費控除の申請:多額の医療費が発生した場合
④雑損控除の申請:災害や盗難などで被害にあった場合
⑤寄付金控除の申請:特定の寄付をした場合
確定申告書の作成
国税庁のホームページには、『確定申告書等作成コーナー』というページがあり、これを活用することで申告書を自分で計算して手書きするよりも簡単に作成できます。
以下の画像のようなかたちで、必要項目を選択して行って、必要な金額を入力するだけで確定申告書が作成できるのでとても便利です。
☆リンク 引用元(以下画像含む):国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」
『確定申告』で注意すべきポイント!
!注意① 「申告期限」に遅れずに申請と税金納付
⇒毎年3月15日(※2020年は3月16日)の期限までに必ず確定申告を提出し、税金を納めましょう
!注意② 申告書類は『作成コーナー』を活用
⇒申告書類は、国税庁ホームページの『確定申告書等作成コーナー』を利用して作成するのが便利です。税務署で直接提出したい人は、確定申告の時期は税務署は混んでいるので、書類は事前作成していきましょう。
!注意③ 「税務署」への相談は確定申告以外の時期に!
⇒インターネットにも多数の情報がありますが、書類の書き方などの細かい点は、税務署の職員さんに相談に乗ってもらうことが最も確実で分かりやすいです。
⇒ただし、確定申告(2月中旬~3月中旬)の時期は大変混雑するので、できるだけそれ以外の時期にずらして相談するようにしましょう。
!注意④ 「副業」も20万円以上の所得は確定申告!
⇒『源泉徴収』を受けている会社員などの「給与所得者」も、本業のお給料以外に20万円以上の副業所得があった場合は、『確定申告』が必要となります。
⇒バレないだろうと申告をしないでいると、脱税が見つかった場合に本業にも影響出てしまうこともあり得ますので、しっかりと正しく納税しましょう。
「副業収入の税金」については、以下の記事でまとめておりますので、宜しければ合わせてチェックしてみてください。
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副業収入にかかる税金を理解!会社にバレない確定申告・手続き方法とは?
副業で得た収入の「税金計算」、「支払いの手続き方法」、「会社にバレない確定申告」などといった情報について理解しましょう!
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!注意⑤ 2020年の税制改正で各種控除金額に変更が発生!
⇒2020年から適用される税制改正で、「給与所得控除」、「基礎控除」などで変更が発生し、所得金額によっては増税となります。
2020年の税制改正については、以下の記事に個別にまとめてみましたので、宜しければ合わせてご確認ください。
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2020年に税金が変わる?増税なの?控除金額の変更など基本を理解!
2020年から税金が変わる!変更点をしっかり理解して自分の税金への影響を知っておこう!(増税なの?減税なの?何か手続きが必要なの?)
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(まとめ一覧)税金・社会保険料・源泉徴収・年末調整などを理解しよう!
<👨おっさんのつぶやき>
・「税金や社会保険料が差し引かれているのは分かるけど、金額の計算方法や税率までは知らないなあ、、、」
私たちは、働いて得た収入の全額を利用できるわけではなく、「税金」や「社会保険料」を支払う必要がありますよね。
特に給料収入のサラリーマンや公務員の方は、「源泉徴収」や「年末調整」について、詳しい内容や税額が決まる仕組みまでは知らないという方も多いかと思います。
以下の記事ページにて、「各種税金(所得税、住民税など)」や「源泉徴収」、「年末調整」、「確定申告」などの仕組みや計算例に関してまとめておりますのでぜひ参考にしてみてください。
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