この記事のテーマ(ポイント)
- 住宅ローン減税の仕組みを理解して、お得に家を買おう!
2.『住宅ローン減税』を受ける条件
3.『住宅ローン減税』の申請・手続き方法
4.『住宅ローン減税』の計算方法と計算事例(サンプル)
5.減税されたお金はどのように還付(=お金が戻る)される?
という流れで、基本となるポイントを理解しましょう!
目次
『住宅ローン減税』とは?
<👨おっさんのつぶやき>
・「住宅ローン減税って、聞いたことはあるけど、具体的にどんな制度なのかな、、」
『住宅ローン減税』とは、一戸建てやマンションなどの住宅を購入した際に、「住宅ローン」を使って買うと毎年の支払う税金(所得税、住民税)が下がるという、家を買う人にはお得な制度です。
また、『住宅ローン減税』というのは通称であり、正式には『住宅借入金等特別控除』と呼ばれる制度になります。
これは、住宅購入時の経済的負担を軽減することで住宅販売を促すことを目的に政府が創設した制度であり、古くは1978年(※今とは条件や名称など異なる)から始まっております。
『住宅ローン減税』を使うと、実際にどれくらい税金が減るのかというと、以下の表にあるのが減税の最大上限額となります。
後ほど「計算方法」と「計算例」でもご説明しますが、「住宅ローンの残高がいくらか?」、「支払っている税金がいくらか?」によって、実際にあなたの手元に戻る金額が変わりますのでご注意ください。
※つまり、以下は最大値であり、必ずこの金額が「減税されて収入のプラスになる」というわけではないということ
『住宅ローン減税』では減税される上限額と期間(何年間のあいだ減税されるのか)が設定されているのですが、以下の2つのポイントでどれが適用されるのかが変わります。
まず1点目に住宅の条件があり、上記表のとおり、通常は一年間の上限額=40万円(②)なのですが、認定長期優良住宅の適用を受けると、年間上限額=50万円(①)となります。
2点目として、入居時期(=いつ住み始めるか)によって、適用期間(=減税される年数)が異なり、通常は10年間であるところを、令和元年(2019)~令和2年(2020)12月31日までに入居すると13年間(※)となります。
※これは、2019年の消費税増税への景気対策として減税期間を3年間延長したためです
『住宅ローン減税』を受ける条件
<👨おっさんのつぶやき>
・「家を買った後に、住宅ローン減税が受けられないなんて言われたら、絶対困る!」
「住宅ローンで家を購入すれば、必ず『住宅ローン減税』を受けられる!」というわけではなくて、減税を受けるための適用条件というのがあります。
一覧表にまとめると以下のとおりとなるのですが、「新築」でも「中古」の住宅でも加入できますが、「中古」では新築の条件に加えて下記の⑤もクリアする必要があります。
※「〇」がついているものは、全て条件を満たしている必要があります
①借入期間
住宅ローンの借入期間(=返済期間)については、返済開始から10年以上の契約であることが前提となります。
ここで注意すべきポイントとして、返済途中に『繰り上げ返済』をする場合、繰り上げ返済の支払い方法によっては、以下【A】、【B】のように損をしてしまう可能性もあるので、事前に試算して判断しましょう。
つまり、『繰り上げ返済』よって、「金利分を支払わずに済むメリット(=返済金額が減る)」と「住宅ローン減税を受けるメリット(=戻ってくる税金の金額)」のどちらがお得なのかという観点になります。
【パターンA】
繰り上げ返済によって返済期間が短くなったときに、返済開始から返済終了までの借入期間が10年未満になってしまうと、その年から『住宅ローン減税』は適用外となります。
※例:「契約当初:15年の借入期間 ⇒ 繰り上げ返済(6年短縮):9年間の借入期間」となると、繰り上げ返済の年以降は減税対象外
【パターンB】
繰り上げ返済によって、「借入金残高」が減ることで、結果的に減税額が減る。
※例:1,000万円の繰り上げ返済により、「年末借入金残高が2,000万円=20万円減税」の予定が、「年末借入金残高が1,000万円=10万円減税」となる
②入居用住宅
『住宅ローン減税』を適用してもらうためには、対象となる住宅には「減税を受ける人が自分で住む」ということが前提となります。
つまり、人に貸す賃貸用住宅、お店などの事業を行うための建物ということである場合は、減税の適用を受けられません。
また、入居に関するその他条件として、「新築なら家ができた日、中古なら購入した日から、6カ月以内に住み始める」、「入居日から12月31日まで引き続き住み続けている」、「住宅の1/2以上は居住目的の建物である」ことも適用条件になります。
③床面積
住宅部分(注:土地ではない)の床面積が、「50平米(㎡)以上」の広さである必要があります。
3階建てであった場合、1・2・3階の床面積を合算した数字でOKです。
購入した住宅がマンションの場合に注意しないとならないのは、廊下などの共用部はこの床面積には含まれませんので、あくまで自分の専有部分で50平米(㎡)以上であることが条件です。
※「不動産登記簿」に記載されている「床面積」の数値が確実ですので、不明な場合はそこを確認しましょう
④年間所得
住宅ローンを受けている対象者の『合計所得』が、年間3,000万円以上の場合には、『住宅ローン減税』の適用対象外となります。
夫婦で半分ずつ(50%:50%)で住宅ローンに加入した場合、夫婦二人の合計所得が3,000万円を超えてしまうと、減税適用外ということになります。
⑤中古住宅のみ必要条件
中古住宅の場合には、①~④の提供条件に加えて、以下の【A】~【E】のどれかひとつを満たしている必要があります。(全部ではありません)
【A】、【B】の場合には登記簿にある建築年月日で証明できますが、この2つに該当しない場合は、【C】、【D】、【E】のどれかひとつを証明する書面を提出しなければなりません。
詳しく内容をご確認されたい方は、以下の国税庁ホームページのほうも合わせてご確認ください。
☆リンク 引用元:国税庁ホームページ「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」
<中古住宅のみ必要な条件>
【A】耐火建築物件の場合、築年数が25年以内
【B】耐火建築以外の物件の場合、築年数が20年以内
【C】耐震基準適合証明書の取得
【D】住宅性能評価書の取得
【E】既存住宅売買瑕疵保険への加入
その他の条件
「新築」、「中古」に限らず、その他の条件として、以下に該当する場合については、「減税の適用対象外」になってしまいますので注意してください。
・生計を一にする親族からの借入金で購入した場合
・贈与された住宅の場合
より詳しい情報を確認されたい場合には、以下の国税庁のホームページをあわせてご確認ください。
☆リンク 引用元:国税庁ホームページ「住宅借入金等特別控除」
『住宅ローン減税』の申請・手続き方法
『住宅ローン減税』の適用を受けるためには、『源泉徴収制度』を受けている会社員や公務員であっても、少なくとも最初の一年目は確定申告する必要があります。
申請するときの基本的なポイントについて、以下のとおりご紹介させていただきます。
最初の一年目の申請(必要となる書類など)
『住宅ローン減税』で、最初の一年目に確定申告で必須となる書類は、以下の①~⑦となり、書類一式をそろえて管轄の税務署で確定申告を行います。
『源泉徴収』を受けている会社員などの場合にも、最初の一年目は必ず確定申告をする必要があります。
また、⑧~⑩の書類は、これに該当する場合のみに提出する必要があります。
※⑧、⑨は「認定長期優良住宅」の適用を受けたい場合(年間上限50万円減税の適用になる)
※⑩は「中古住宅」の購入で、築年数が20年以上(耐火建築物は25年以上)の場合
<住宅ローン減税の確定申告に必要な書類(初年度)>
①確定申告書A
⇒税務署でもらうか、インターネットの国税庁サイトから印刷
②住宅借入金等特別控除額の計算明細書
⇒上記①と同じ
③本人確認書類
⇒以下の「a」または「b」のコピー(写し)
a マイナンバーカード
b マイナンバー通知カード か、マイナンバーが記載されている住民票
+
運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
④建物・土地の登記事項証明書
⇒法務局から発行してもらう書類
⑤建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)のコピー(写し)
⇒不動産屋などと結んだ契約書
⑥源泉徴収票
⇒雇用主(会社など)から入手
⑦住宅ローンの借入金残高証明書
⇒金融機関等から発行される証明書
<該当する場合のみ提出>
⑧長期優良住宅の場合
⇒長期優良住宅建築等計画の認定通知書コピー(写し)
⑨低炭素建築住宅の場合
⇒低炭素建築物新築等計画認定通知書コピー(写し)
⑩中古住宅の耐震基準を証明書類が必要な場合
⇒以下の3つのうち、どれか一つの書類
・耐震基準適合証明書の取得
・住宅性能評価書の取得
・既存住宅売買瑕疵保険への加入
二年目以降の申請
最初の一年目に確定申告をして申請が承認されると、その年の10月頃に残り期間(9年、もしくは12年)の『住宅借入金等特別控除申告書』が郵送されてきます。
これは、その年ごとに1枚ずつ(=9年間なら9枚の書類)という書面になっております。
万が一、紛失してしまった時も再発行は可能なようですが、税務署へ再発行を申請してお願いする必要があるので、きちんと保管しましょう。
2年目からは、この『住宅借入金等特別控除申告書』と金融機関などから届く『住宅ローンの残高証明書』の2つが申請に必要書類となります。
会社員などの『源泉徴収』を受けている人は、2年目以降は確定申告の必要はなく、『年末調整』で上記2つの書類を合わせて提出することで減税を適用してもらえます。
『住宅借入金等特別控除申告書』の書き方について迷っているという方は、以下の国税庁ホームページを参考にしてみてください。
☆リンク 引用元:国税庁ホームページ「住宅借入金等特別控除申告書」
いつ?どこで申請すれば良い?
上記の通り、会社員などの『源泉徴収』を受ける人も、最初の一年目は『確定申告』が必要となります。
どこに申請するかについては、原則として確定申告する時点で自分が住んでいる自治体(=住民票を登録している市町村など)を管轄する税務署で行います。
ひとつ注意点として、毎年2月中旬~3月中旬頃は自営業などの方の確定申告で税務署は非常に混雑します。
確定申告のなかでも、会社員などの『源泉徴収』を受けている人が『住宅ローン減税』などの税金の”還付”を受けるためにする申告を『還付申告』と呼びます。
この『還付申告』は、毎年1月1日から申請可能なので、2月中旬以降の混雑する時期より前に手続きしたほうが良いかと思います。(空いているときだと、税務署の職員の方にいろいろ質問する余裕もあっておススメです)
※詳しく確認されたい方は、以下の国税庁のホームページ「還付申告」をご確認ください。
☆リンク 引用元:国税庁ホームページ「No.2030 還付申告」
『住宅ローン減税』の計算方法と計算事例(サンプル)
次に、住宅ローン減税の計算方法なのですが、計算式としてはシンプルです。
以下のとおり、「計算方法」と「サンプル:計算の具体例」をご紹介しますのでご確認ください。
計算方法
減税金額がどのように決まるかというと、以下の【A】と【B】のいずれか金額が小さいほうが適用されます。
【A】の住宅ローンの残高金額は、銀行の住宅ローンを利用している場合であれば、通常は「残高通知書」が郵送で送られてくるのでその金額に基づきます。
注意点として、【A】の残高金額については、「百円以下の端数は切り捨てする」ことと、「住宅ローンを払っていくことで、年々減っていく(=毎年減税額が減っていく)」というポイントになります。
<【A】と【B】のいずれか金額が小さいほう>
【A】年末時点での住宅ローンの残高×1%
【B】住宅ローン減税の最大控除額
サンプル:計算の具体例
サンプルとして、以下を前提条件として、実際にいくら減税されるかの具体例を確認してみましょう。
<サンプルの前提条件>
①新築の一戸建て住宅
②認定長期優良住宅の対象
③令和(2019)元年10月1日に入居
④令和元年12月31日の住宅ローン残高が4,000万円
上記の前提条件に計算をしてみると、以下の【A】と【B】の金額となりますので、数値が小さいほうの【A】400,000円となります。
<サンプルの前提条件>
【A】年末時点での住宅ローン残高(4,000万円)×1%=400,000円
【B】住宅ローン減税の最大控除額=500,000円
気を付けないとならないのは、ここで計算した40万円はどんな場合も100%全額還付(=税金が戻ってくる・減る)されるわけではない、ということです。
結論から言うと、あなたの支払っている税金の額によって変わる可能性があるのです。
詳しくは、次の項目の「減税されたお金はどのように還付(=お金が戻る)される?」でご説明いたします。
減税されたお金はどのように還付(=お金が戻る)される?
減税された金額が、具体的にどのような手順で還付(=お金が戻る)のかということについて確認しておきましょう。
step
1所得税からの減税
まず、【STEP1】としては『所得税』から減額(=控除)されます。
会社員などの『源泉徴収』を受ける人は、その年の12月の『年末調整』で『住宅ローン減税』を申請すると、所得税から住宅ローン減税の金額が控除(=差し引かれる)されます。
step
2住民税からの減税
【STEP2】として、『住宅ローン減税』の金額が『所得税』の金額よりも大きくて、減税しきれなかった場合には、『住民税』からも減税されます。
『住民税』の場合は、翌年6月から翌々年5月の一年間で支払う『住民税』から減額されるかたちになります。
ただし、『住民税』で減税される金額は、上限が136,500円(平成26年4月1日~令和3年12月31日 に入居開始の場合)と決まっております。
注意ポイント
また、前の項目でご説明した「住宅ローン減税が全額還付されない(=全額返ってこない)パターン」というのは、端的に言うと『住宅ローン減税の金額より、税金(所得税+住民税)のほうが少ない』という場合に発生します。
具体的な事例でいうと、以下のようなケースであり、『住宅ローン減税』は40万円減税と計算されたけれど、実際に減税が適用できる金額は336,500円(63,500円分は戻らない)ということになります。
<具体例の前提条件>
①『所得税』=200,000円
②『住民税』=200,000円
③住宅ローン減税=400,000円
④実際に減税される金額=336,500円
※住民税の63,500円は税金として支払いが必要
もうひとつ理解しておくべきポイントとして、『所得税』と『住民税』で実際に減税されるタイミングが異なるという点になります。
仮に、会社員の場合として2019年所得の減税を具体例にすると、以下のとおりとなります。
☆『所得税』は2019年12月の年末調整で減税が適用され、12月の最後の給与で還付(=お金が戻る)される
☆『住民税』は翌年2020年6月から翌々年2020年5月で支払う住民税から減税される
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