この記事のテーマ(ポイント)
- 「住民税」について、「支払時期の考え方」や「税率」などの基本ポイントを学びましょう!


2.住民税の支払時期は翌年6月~翌々年5月!
3.住む場所(自治体)で税金が変わる?
4.「所得税」とは『所得控除』の控除金額が違う!
5.住民税の計算例(サンプルの金額)
6.住民税で注意すべきポイント
7.2020年の税制改正でどんな影響がある?
といったポイントを押さえれば、住民税の基本理解はOK!
目次
「住民税」とは、どんな税金なのか?
<👨おっさんのつぶやき>
・「住民税の内容は何となくは分かっているけど、細かい仕組みまでは理解していないなあ、、」
『住民税』は、日本全国の地方自治体が行政サービス(教育、福祉、ゴミ処理など)を行うために必要な費用として、その地域の住民に課税する税金=『地方税』となります。
※『所得税』は”国税”として国に支払う、『住民税』は”地方税”として地方自治体に支払う
『住民税』とひとくくりになっておりますが、実際には、都道府県に納める「都道府県民税」と、市町村に納める「市町村民税」という2つの税金の総称になります。
また、住民税は「所得割(課税所得金額×税率で算出する税金)」と「均等割(課税所得金額に関係なく一律の税金)」の2つの金額を合計したものになります。
※「都道府県民税」、「市町村民税」のそれぞれに所得割、均等割がある
※あなたの住む地方自治体の「住民税」の税率、税額の正確な数値の確認は、必ず各自治体のホームページ等にてご確認するようにお願いいたします。
<住民税の概要>
①住民税は地方税(地方自治体に納める税金)
②住民税は都道府県民税と市町村民税を足したもの
③「所得割」と「均等割」の2種類の課税がある
住民税の支払時期は翌年6月~翌々年5月!
<👨おっさんのつぶやき>
・「住民税って、源泉徴収票には金額が書いてないけど、ナゼなのかなあ、、」
『住民税』について、注意しなければならないポイントの一つとして、「税金の支払時期」があります。
『住民税』は、「その年の一年間(1月~12月)の課税所得に対する税金」を、「翌年6月~翌々年5月で支払う」というルールになっております。
つまり、以下の図を参考にすると、2019年の課税所得に対する住民税は、翌年2020年6月から翌々年の2021年5月までの一年間で支払うということになります。
支払方法には2種類あり、会社員は会社が代理で支払ってくれる『特別徴収(6~5月を12分割で毎月支払う)』で、その他の自営業・個人事業主などの方は『普通徴収(3か月分を3カ月に1回で支払い)』という違いがあります。
※会社員の支払いイメージ
<住民税支払の流れ>
①2019年12月:2019年の課税所得が確定
②2020年5月頃:自治体が「住民税決定通知書」を送付
③2020年6月:住民税の支払いを開始(以降、毎月支払い)
④2021年5月:2019年分の住民税の支払い完了
気を付けるべきところとして、例えば2019年12月末で退職して、その後に仕事に就いていないような状況であっても、『2019年所得に対する住民税』は2020年6月から一年間で支払わなければなりません。
また、『住民税』は地方税なので、国税の『所得税』を計算する『源泉徴収票』には記載されておりません。
その代わりに『住民税決定通知書』が、毎年5月~6月頃に、前年度の住民税確定金額として各地方自治体から通知されます。
住む場所(自治体)で税金が変わる?
<👨おっさんのつぶやき>
・「住むところで住民税って金額が異なるのはなんでなの?」
よく言われることのある「住民税は住む場所(自治体)によって金額が異なる!?」という点について、「住民税の計算式」、「住む場所で税金が変わる理由」といったことを以下にご紹介いたします。
住民税の計算式(標準値)
「住む場所によって税金が違う理由」をご説明する前に、まずは、基準となる『住民税』の計算式の考え方についてご説明いたします。
「住民税は課税所得の10%」と理解している方も多いかと思いますが、ザックリした理解としては、それでOKなのですが、厳密には少し異なります。
課税所得に対して10%の「所得割」に加えて、所得に関係なく金額が一律の「均等割」という金額も合算する必要があり、「標準値の所得割・均等割」は、以下の表のとおりです。
※「所得割」の税率は、納税者の所得金額に関わらず一律の割合(%)となります。
ちょっとややこしい「調整控除」
計算方法でややこしいのは、「所得割」で算出した金額に対して、「調整控除」という項目があって一部金額を控除(=税金が減る)するという点です。
「調整控除」は何の目的であるのかというと、『住民税』は『所得税』よりも『所得控除』での控除(=税金が減る)される金額が低いので、納税者のためにそれを配慮したという背景があります。(=所得税の控除額に近づける。同額という意味ではない)
「調整控除」は以下のような計算方式となっており、少し面倒な計算が必要となります。

<所得割の調整金額の計算方式>
①課税所得が200万円以下の人
次の(1)と(2)のいずれか少ない金額×5%
(1)人的控除額の差額の合計金額
(2)課税所得金額
②課税所得が200万円を超えるの人
「人的控除額の差額の合計金額」-「課税所得金額-200万円」×5%
※ただし、差額が2,500円以下(0円以下のマイナス金額含む)のときは、一律2,500円
「人的控除額の差額」とは何なのか?、などについては、以下の「4.所得税と住民税では『所得控除』の金額が違う!?」でご説明します
なかなかわかりにくいと思いますので、ここではザックリと理解していただき、後ほど下のほうの具体的な計算例を「5.住民税の計算例(サンプルの金額)」で見ていただくと少し分かりやすいかとは思います。
住む場所で「税金」が変わる理由!
『住民税』は、あなたが住んでいる地方自治体によって税額が異なる場合があり、先ほどの項目でご説明した「所得割」と「均等割」の両方とも「標準の数字」から変わる可能性があります。
具体例としては、北海道の夕張市の市民税については、以下のとおり全国の標準値よりも高い税額設定となっております。
ただ、どこの自治体でも好き勝手にどんどん増額しているというわけではなく、夕張市は財政が厳しいという事情があり、少し特別な例になります。
『所得割』の税率を上げているのは、日本全国でも夕張市の他には『神奈川県の県民税(+0.025%)』、『兵庫県豊岡市の市民税(+0.1%)』がある程度です。(2019年時点)
これに比べて、『均等割』の金額を増額しているところは多いのですが、年間で数百円程度(千円を少し超える自治体も、いくつかあります)という増額がほとんどです。
この状況を考えると、「住民税」は住む場所によって異なるものの、それほど大きな金額の違いにはならないと言えるかもしれません。
「所得税」とは『所得控除』の控除金額が違う!

『所得税』と『住民税』では、『所得控除』の控除金額が異なる部分があるので、税額を計算するときには注意しましょう。
また、『所得控除』の各項目について、「人的控除」と「物的控除」の2つに分類して、所得税と住民税での違いを確認いたします。
人的控除の項目(住民税/所得税の違い)
『人的控除』とは、本人や家族などの人の状況に基づいて考慮される『所得控除』の項目のことを指します。
具体的には以下表にある項目がそれにあたり、この表では、住民税と所得税での「控除額の差異」も合わせて明記しております。
物的控除の項目
『物的控除』とは、『人的控除』以外の控除項目で、その年に支払ったお金(=支出)に対しての控除という意味合いになります。
具体的には以下表にある項目がそれにあたるのですが、「生命保険料控除」と「地震保険料控除」以外は住民税も所得税も控除の条件は同じとなります。
年収500万円での住民税の計算例

あくまでご参考情報となりますが、「年収500万円での住民税」の計算例(前提:東京都)として、以下のとおり試算してみました。
また、以下リンク先で東京都千代田区の住民税のシミュレーションができますので、宜しければご活用ください。
※リンク 引用元:千代田区 「住民税額シミュレーション」
課税所得の算出
まず、『住民税』を課税する対象の金額=『課税所得』の合計金額を算出しましょう。
①年収(額面金額)は500万円
②給与所得控除は、年収が500万円なので、「×20%+54万円」が適用され、154万円が控除(課税対象から差し引く)される
③所得控除で、さらに2,301,500円控除(課税対象から差し引く)される(所得控除の計算明細は、下の2つ目の表)
④年収から②と③を控除(差し引く)した金額=「課税所得は1,158,000円」(千円以下は切り捨て)
※『社会保険料』の金額は、キリの良い数字「年間:80万円」を前提にしております。
調整控除の算出
次に、『住民税』を計算する前に、『調整控除』の金額を算出しましょう。
『調整控除』の内容は、この記事の上のほうでご説明している通りですが、『課税所得』が200万円以下なので、以下のとおりの計算式になります。
ちなみに、『人的控除金額の差異』は、前の項目で『所得控除』を計算した際に算出している金額(330,000円)です。
<所得割の調整控除の金額算出>
STEP① 課税所得は200万円以下
STEP② 「課税所得(1,158,000円)」よりも、「人的控除金額の差異(330,000円)」のほうが小さい
STEP③ 330,000円×5%=16,500円
☆調整金額=16,500円
住民税の税額算出
『課税所得』と『調整控除』の金額が算出できたので、いよいよ具体的な『住民税』の税額について計算してみましょう。
まず、『住民税』の合計金額(年額)を以下のとおり計算してみたのですが、『所得割』と『均等割』は以下の前提としております。
・『特別区民税(=市町村民税)』
⇒所得割の税率:6%、均等割:3,500円
・『都民税(=都道府県民税)』
⇒所得割の税率:4%、均等割:1,500円
また、会社員や公務員は給与の支払者(会社・お役所など)が『住民税』を給与のなかから天引きで支払ってくれますが、毎月の月給から支払いを前提に12分割(特別徴収)となります。
以下は、2019年の課税所得に対する住民税(支払いは会社員の特別徴収:2020年6月~2021年5月の毎月支払い)でという前提で計算してみました。
ひとつ注意点として、12分割の金額の決め方ですが、「100円未満の端数」が出たときには「百円未満は切り捨て」します。
ただ、切り捨てした端数は払わなくて良いわけではなく、最初の支払い月(以下だと2020年6月)に加算されて支払う必要があります。
<2019年課税所得の住民税>
2020年6月:9,600円
2020年7月~2021年5月:8,600円/毎月
・計算手順① 年額:104,200円÷12=8,683.333・・・円 ※割り切れない金額
・計算手順② 20年7月~21年5月:8,600円 ※端数切捨てした金額
・計算手順③ 20年6月:9,600円 ※8600円+端数切捨て分(104,200円-103,200円(8,600円×12)=1,000円)
住民税で注意すべきポイント

まとめとして、『住民税』に関して、注意すべきポイントについて、以下のとおり簡単にまとめてみました。
<住民税のポイント・注意点>
①住民税額は「所得割(課税所得×標準10%)」と「均等割(所得に関係なく一律金額)」の2つ合算
②「今年1月~12月の住民税」は「翌年6月~翌々年5月」に支払う(支払時期の問題)
③同じ課税所得金額でも住む場所で住民税額が変わる場合がある
④『住民税』の『所得控除』は、『所得税』より控除額が低い
2020年の税制改正でどんな影響がある?
2020年には「給与所得控除」、「所得控除(基礎控除)」の控除金額に変更が発生し、所得金額によっては増税となります。
2020年の税制改正について、以下の記事に個別にまとめてみましたので、宜しければ合わせてご確認ください。
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<👨おっさんのつぶやき>
・「税金や社会保険料が差し引かれているのは分かるけど、金額の計算方法や税率までは知らないなあ、、、」
私たちは、働いて得た収入の全額を利用できるわけではなく、「税金」や「社会保険料」を支払う必要がありますよね。
特に給料収入のサラリーマンや公務員の方は、「源泉徴収」や「年末調整」について、詳しい内容や税額が決まる仕組みまでは知らないという方も多いかと思います。
以下の記事ページにて、「各種税金(所得税、住民税など)」や「源泉徴収」、「年末調整」、「確定申告」などの仕組みや計算例に関してまとめておりますのでぜひ参考にしてみてください。
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